タレントマネジメント2

脚光を浴びつつあるタレントマネジメント

 タレントマネジメントという概念がHRM(人的資源管理)において重要な位置を占めるようになってきている。LewisとHeckman(2006)のレビューによると、2004年後半にグーグルで検索すると、270万ヒットしたという。しかし、タレントマネジメントといいながらも、一方で、「タレント戦略」、「サクセッションマネジメント」、「人的資源計画」などの用語がしばしば互換的に用いられ、混乱を拭い去れなかったと指摘している。
 たとえば、JacksonとSchuler(1990)では、「適時に適材適所を確実にすること」だとされ、Rothwell(1994)は、「重要なポジションにリーダーを継続的に割り付け、個人の成長をより確実にする組織の取り組みである」とした。Pascal(2004)は、「人的資本のエンジンを通じて、人材の需要、供給、フローを管理することだ」としている。
 その後、ChelohaとSwain(2005)は、「効果的な次世代計画が重要な構成要素となる」とし、Redford(2005)は、「組織の全員がその潜在性を最高水準で働くこと」だとしている。Lewisら(Frank&Taylor,2004;Vicere,2004などを含む)は、統一的で正確な定義はないにしても、タレントマネジメントは戦略的に重要なものであるとしている。
Lewisらは、2006年時点でもタレントマネジメントに関して異なる立場や、重点の置かれ方があると指摘し、次のように総括している。

The first defines talent management as a collection of typical human resource department practices, functions, activities or specialist areas such as recruiting, selection, development, and career and succession management (Byham,2001;Chowanec & Newstrom,1991; Heinen & O'Neill, 2004; Hilton, 2000; Mercer, 2005; Olsen, 2000).

「タレントマネジメントの定義は当初、典型的なHRDの実践、機能、活動であり、採用や選抜、人財開発、キャリアや次世代育成管理といった専門家領域だった。」

Lewisらは、タレントマネジメントをもっと戦略的に捉えるべきだとして、その定義には曖昧さを残すにせよ、HRを推進していくうえで、戦略的な重要性があるとしている。タレント(Talent)は「ヒト(people)」の婉曲的な表現であり、ヒトを重視し、人材獲得競争(マッキンゼーが提唱した”War for Talent”)や「高業績者アプローチ」が事の発端であるとしている。
南カリフォルニア大学にはHRMやODの分野で影響力の大きいEdward Lawler Ⅲが在籍しており、CEO(Center for Effective Organization)という機関がある。そのスタッフであるBoudreau(南カリフォルニア大学教授)ら(2005)はタレントマネジメントにおいて広く注目を集めている。Boudreauらは、「タレントシップ(Talentship)」という新しい概念を提唱し、「HRは、独自の人材中心の視点であり、意思決定を推進するというだけではなく、意思決定を発展させるべきものだ」としている。タレントシップとは、「マーケティングやファイナンスの領域の進展を参考にして、戦略と経済学、人的資源論を統合的な原理を創り出し、意思決定の科学としてとして発展させていくものだ」としている。また、次のような枠組みを提示している。

Lewisらは、実務家がタレントマネジメントを「労働力分析(workforce analysis)」と捉えることが多いということも紹介している。
デロイト・コンサルティング(2005)によると、業績分析、すなわち、人的資本とファイナンス上の業績を結びつけるビジネス・インテリジェンスの新しいクラスであるとしている。
ステップストーン(2005)は、分析することであり、スタッフィングのプロセスにおいて十分に可視化し、全体的なシステムを最適化し、個人の諸側面を発展させることであるとしている。
ケネサ(2005)は、リクルーター、エグゼクティブ、管理者や人的資源の雇い入れを含む、活用者の様々なカテゴリーに対する標準的な指標であり、整理箱であるとしている。
また、Boudreauらは、タレントマネジメントの階層として次のようにまとめている。